卵のコレステロールが悪者になった理由

前回の記事でも書きましたが、「コレステロール」が、人間にとって重要な「栄養素」の1つであるにもかかわらず、 「悪者扱い」されるようになったのには2つの学説のためだと言われています。特に、【学説その1】の「ロシアのウサギの実験」は発表後に世界的に広まり、非常に有名になりました。しかし、これらの学説は、後の研究で「誤りである」と判明しています。
 
 
■【学説その1 】
約100年前の1913年に、ロシアの病理学者「ニコライ・アニチコワ」 (Anitschkow)らが、ウサギに「コレステロール」を与える実験を行なった。「大動脈」に「コレステロール」が沈着して、「動脈硬化」が起こったことから”「コレステロール」が「動脈硬化」の原因である”と発表した。この学説には大きな問題点があった( 「草食動物」に「動物性のコレステロール」を与えた実験だった)のだが、その説がそのまま広まってしまった。
 
 
■【学説その2】
約50年前の1970年代に、アメリカの「へグステッド」という学者たちが”食品中の「コレステロール」が「100mg」増加すると、 「血清総コレステロール」(血液中の総コレステロール値)が「6mg/dl」上がる”という、有名な「へグスデッドの式」を提唱し、長い間この式が採用されていた。
 
 
「血中」に含まれる「血清コレステロール値」を測定する際に、「値が高いから危険」だと考えられがちです。しかし、測定された「コレステロール値」は、「善玉コレステロール(HDL) 」「悪玉コレステロール(LDL) 」などを含めた「総コレステロール値」です。ですから、この数値が高いというだけで「危険」であるとは決めつけられないのです。要は、「善玉」と「悪玉」の数値によって、判断すべきなのです。

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「コレステロール」および「中性脂肪」の正常値について


 
以前は「総コレステロール値」によって、病気かどうかの判定をしていました。しかし、現在では「動脈硬化」にいちばん影響のある、「悪玉コレステロール」を基準にしています。また、逆に「善玉コレステロール」が少なすぎると、「動脈硬化」になりやすくなってしまいます。「脂質異常症の診断基準」は上記の通りです。
 
 
以上のように、現在では「総コレステロール量」ではなく、「悪玉」と「善玉」の「コレステロール」および「中性脂肪」を、診断基準としています。「たまご」 (卵黄)は、 「コレステロール含有量」が多いため、多く摂取すると「コレステロール値」が上昇する、と誤解して敬遠する人もいます。
 
 
しかし、「たまご」には「コレステロール」が「動脈壁」へ沈着することを抑える、「不飽和脂肪酸」 (「リノール酸」など)が多く含まれていることから、あまり心配する必要はないと言われています。また、「卵黄」に多く含まれている「レシチン」という物質は、「善玉コレステロール」の量を増加させるのに役立っていて、「レシチン」は「動脈硬化」の予防薬の主成分としても使われているくらいです。

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